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医学書LIBRARY

お勧めの医学書を科目ごと、診療科ごとにご紹介します。 医学生はもちろんのこと、ドクターや一般の方にも参考になればと思います。質問もお待ちしていますのでお気軽にコメントください。

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『肉単』(NTS)

『肉単』(河合良訓 監修  原島広至 本文・イラスト NTS)は、筋肉を勉強するための参考書です。いわゆる教科書として使うような格式高い本ではないので(いわゆるちょっとチャラい本)、大学の先生によってはあんまりおすすめしない方もいらっしゃいますが、実際に使ってみると、案外得るものは大きいです。ですから、参考書のひとつ、試験対策の本として持つのをおすすめします。

この本は、筋肉を覚えるために作られています。筋肉の図と、その名前(和名、英名)が記されているところまではなんの変哲もない単語帳(この本をすすめない先生は単なる単語帳だと思われているようです)ですが、他の本と大きく違うところは、各筋の作用がわかりやすく噛み砕いて書かれてあるところです。物を持ち上げるときに使う筋だとか、平泳ぎをするときに使うだとか、自分の体験に即して理解を深めることができます

確かに、教科書的な分厚い本にもこのような筋の作用が書いてあるにはあるのですが、『肉単』のように見やすくまとまって書かれていることは少ないです。本来ならば、試験前に、分厚い教科書から抜き出して自分で整理することも大事なのですが、筋肉は暗記量も多いし、その整理(いわゆるシケプリ作り)を『肉単』が代わりにやってくれたと考えればよいです。巻末には、筋肉の起始・停止、支配神経、作用がまとまった表もついていて何かと便利です。

筋肉を勉強する際に大事なのは、まずは起始・停止を覚えることです。実際、ひとつひとつの筋がどのような作用をしているかというのは、厳密にわかるのではないので、この「ついているところ」から動きを考えるのが普通です。とりあえず起始・停止を覚えておけば、その筋肉がどのような動きに貢献しているか、だいたい予想をすることができます(たとえば、大腿直筋は下前腸骨棘を起始として、膝蓋骨と膝蓋靭帯を通って脛骨粗面に付く(停止)ことから「この筋は2関節筋で膝関節の進展のみならず、股関節の屈曲にも関係してそうだな」とあたりをつけられる)。また、支配神経を覚えることで、どの神経に障害があるとどの筋の麻痺が起こるかというのがわかります

解剖学では、覚えることがたくさんありますが、ただ意味もなく丸暗記するのではつまらないし、すぐに忘れてしまうので、使える知識になりません。しかし多くの人が丸暗記をしようとして、あまりの量の多さに挫折しているようです。ここで重要なのは、暗記を理解とどう結びつけるかということです。やはりある程度は自分なりに理解して、あとになって多少忘れてしまっても、だいたいの感覚(重要なポイントなど、解剖学の基本的な考え方)をもって対応できる力を養うことが必要だと思います。そのためには、覚える事項を自分の体験やほかの項目との関係などと関連付け、いろんな角度から捉えることが大事なのです。

おすすめ度:★★★★☆


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