今回は、解剖学の教科書として使える『解剖学講義 改訂2版』(伊藤隆 著 高橋廣子改訂 南山堂)をご紹介します。
この本は、
多くの国公立大医学部でも推奨されている優秀な一冊。
解剖学総論に始まり、上肢・下肢・背部・胸部・腹部・・・と部位別に目次が構成され、それぞれの部位に対して骨格、関節、筋、脈管、神経の詳しい説明があります。
形態学的所見のみにとどまらず、臨床的な説明も豊富で、こういう仕組みのところを損傷するとこういう理由でこういう症状が出る、といったわかりやすい解説がたくさん載っています。
最後には、
中枢神経系(脳、脊髄、伝導路)について100ページ以上の記述があり、これは別に神経解剖のテキストを買わなくてもいいくらいきちんとした内容です。
巻末の付表には、筋の起止・停止・支配神経、和文と欧文の索引がついているので、
辞書的にも大いに活用できます。索引には
日本語・英語だけでなくラテン語表記も載っているので、とても便利です(ただしラテン語は日本語、英語に対する訳として載っているので、アルファベット順にはならんでいません)。
この本の良いところは、
体系的に、しかも臨床学も含んだ広い視野で解剖学が勉強できるところにあります。黒い表紙に覆われていて、一見難しく見える分厚い本ですが、読んでみると、文や図の構成も見やすく、内容もとてもわかりやすく書かれています。発生学的な記述もあり、解剖学を実習だけでなく、体の機能や仕組みも通して学びたいという人にはとてもおすすめです。これを一通り読めば、試験で何を訊かれても怖くありません。
おすすめ度:★★★★★(満点)
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